ジム・ニックスが春の写真の上手な撮り方や 、HDR を使ったさらに素晴らしい写真の作り方の秘訣を教えます。

春は写真を撮るには素晴らしい季節です。だんだん暖かくなり、花が咲き始め、雨がしとしと降り、何もかもが新鮮で新しく感じられます。カメラを持って外に出ましょう。寒い冬を超えて、息吹を取り戻した地球の美しさをとらえるのにぴったりの季節です。 春に私がフォーカスを当てて撮りたいのは2つ。野生に咲く花と滝です。ここテキサス州中部では雨のおかげもあり、どちらも数多く見ることができます。被写体として本当に素晴らしいのです。今日は野生の花にフォーカスを当てたいと思います。

時にはひとつの露出で美しいシーンをとらえることもできますが、私はいつも HDR 画像を作成する必要性がでてくることを考えて、ブラケット撮影をします。HDR でブラケット撮影した画像をマージしたほうが、より満足度の高い結果に仕上がることが多く、写真の完成画像のコントロールもしやすいです。

三脚は忘れずに持っていってください。ブラケット撮影には安定性が重要です。三脚を使わずに撮影した写真の HDR 加工は何度もやったことがありますが、やはり三脚を使って撮影したもののほうが自信も満足度も上です。

撮影に行く前には天気やロケーションの情報をインターネットで調べていくようにしましょう。行ってみたら閉まっていたなんてことがあったら悲しいですし、お祭りの開催中で撮影ができないなんてこともあるかもしれません。私はいつも人ごみは避けるようにしているので、撮影は朝のほうが好きです。それに、朝の光やその場所に自分ひとりだけ、という孤独感も好きなのです。これは夕暮れ時には滅多に味わえません。

撮影に出かけてまず最初に必ずすることは、それぞれのブラケット設定で3枚良いショットを撮ることです。(もっと撮ることもできますが、3枚あれば十分使えます。) どんなショットかというと、1枚は暗めのもの、もう1枚はほぼ均一に光が当たっているもの、そして最後の1枚は少し明るめのものです。明るすぎたり暗すぎたりするものは使い物にならないので必要ありません。野生の花でも滝でも同じです。滝の写真の白トビは絶対にいけません。花の撮影における長時間露光は、風で花が動きすぎてしまうリスクがあります。

それでは、3枚の写真を Aurora HDR Pro に取り込んで、魔法を始めましょう!

Auroraで私が最初にすることは、最初に使うプリセットを決める前にいくつか試してみることです。 Aurora を使う以前はプリセットを自分の写真に使うことは絶対にしませんでした。画像に関しては自分ですべて選択しコントロールしたいと思っていたのです。しかし、 Aurora のプリセットはとても気に入りました。特に Realistic HDR カテゴリーのものがお気に入りです。 プリセットを適用したあと更に編集していくわけですが、まずはじめにプリセットを適用してからスタートすることで、自分はその写真をどんな方向に持っていきたいのかという方向性やアイデアを得ることができます。

そこからは完成画像までは、ちょっとした実験になります。私はよく Aurora でレイヤーを重ねたりマスクでブラッシングして、写真の中の特定の部分に適切な補正をしていきます。 Aurora を使えば簡単に素早くできますし、あなたが写真に対して望んでいるものを作り出すことができます。

これはテキサス・ヒル・カントリーの写真です。ブルーボネット(青い小さな花で、春になるとそこら中に咲きます) が数多く咲くのでフォトグラファーたちはいつも夢中で追いかけています。このエリアを独り占めするために朝早く出かけました。この写真では、太陽に対してまっすぐ撮っていたので、光を少し散らすように木の後ろの朝日を組み込みました。柵にかかっているブーツがとても気に入っています。すべての並びが完璧でした。

何も手を付けていないこの3枚のファイルを Aurora に取り込むところから始めました。Aurora は下のような画面から始まります。「Create HDR」をクリックすると開始されます。 3枚のファイルがマージされると、 Aurora の初期画面にその画像と、右側にメニューパネル、右下にプリセットを開くためのオプションが現れます。それをクリックすればプリセットを確認することができます。 ここから、この写真の完成画像を実現するために私がとったステップを一つずつ説明していきます。私が引き立たせたかったのは柵にかかっているブーツです。この写真のユニークで興味深い要素となっているからです。しかし、この画像では朝日の中、どこかの忘れ去られた田舎道でひとりぼっちでいるような (実際、そうだった!) 静かな感じを出したかった。

ということで、私がとった加工のステップがこちら:

ステップ1: 最初に適用したプリセットは Realistic HDR カテゴリーの中にある Vivid Memories。これをベースのレイヤーに加えた。これによって立体感が増し、写真のディテールを引き出している。しかし、私はまだこのレイヤーに加えたいものがあった。写真の下部が少し暗すぎで、空は少し明るすぎる気がしたのだ。なのでツールメニューにある 「トップ& ボトムライティング」でそこに補正を加えた。

ステップ2: 次に私はブーツにレイヤーを加えた。写真の中でそこだけを目立たせるような見え方にしたかったのだ。レイヤーを加えるためには、画面右上の Layer の「+」サインをクリックし、名前を付ける。私は後に必要となったときに分かりやすいように「ブーツ」にした。

そして、ヒストグラムの上にあるブラシのアイコンをクリックして、サイズと不透明度を調節し、ブーツとその下の柵の柱にペイントした。マスク選択範囲を見てください: あとは右側のメニューのツールを使ってどう補正するかです。私はブーツと柵の柱にマスクを作成したので、ここからの補正はその箇所のみに対して行われます。

このマスクの目的はブーツと柵の柱を明るくして、もう少しディテールを加えて目立たせること。そこに見る人の注目を持っていきたいのだ。 そこでこのブーツと柱に対して、右側のメニューの様々なツールを使いながら私が行った補正はこちら:

  • トーン: スマート トーン, ハイライト, ミッドトーン を上げる
  • ストラクチャー: 明瞭さとHDR Lookの量を上げ
  • カラー: 温かみを出すために温度を上げる
  • 詳細: グローバル詳細タブにある中小詳細を上げる
  • カラーフィルター: 青色の飽和を下げる - ブーツの中にほんの少し、影による青色が見えたため。

これらすべての補正を行って (ほんの1、2分しかかからなかった) から見てみると、ブーツが写真の中でかなりよく見えるようになっている:

ステップ3: さあ、空に取りかかりましょう。わたしは滑らかな空が好みなので、ほぼ毎回ブラシを使って空のノイズや詳細を減らします。空に取りかかるために今度は別のレイヤーを作成して、「空」という名前にします。 まずブラシで空にかかるマスクを作成します。こんな感じです:

マスクを適用したら、補正を行います。右側のツールメニューの中の HDR DeNoise で行った補正が次のスクリーンショットです:

  • 量を上げる
  • 滑らかを上げる 

これは Aurora の素晴らしい機能のひとつです。もうノイズ低減用の別のツールは必要ないのです。 以前はノイズを取り除くために、わざわざ別のプログラムを使用しなくてはいけなかったので、自分の思い通りの画像を作るのには少々苦労しました。 しかし Aurora を使えばその場でペイントしたマスク部分に行えるので素早く簡単で、時間を大幅にセーブできます!

さあ、空が完成しました。次は最後の細かな補正に取りかかります。

ステップ4:ここまで作ってきた画像もだいぶいいと思うのですが、大きな木とサイドの木のラインのコントラストをもう少し加えようと思います。もう少しコントラストがあった方がいいと思うので、またシンプルなマスクを使います。

このレイヤーの名前を「真ん中の木」にして、フォーカスしたい部分をマスクのブラシで塗っていきます。この大きな真ん中の木は不透明度100%でマスクしています。それに対してサイドの木のラインは不透明度を下げてマスクしました。(マスクの赤色の濃さの違いをご覧ください。) 真ん中の木にコントラストをよりはっきり出すためにわざとこのようにしています。

マスクが適用されたら、この部分のコントラストの補正を行っていきます。右側のメニューパネルの Tone をクリックしてコントラストスライダーを上げます。これだけです!

ステップ5:さあ、完成に近づいてきました。楽しいと思いませんか? ;-)

次に、少しだけグローバル補正(写真全体の効果のこと)
をします。 この写真にさらに魅力をプラスするために、トーンとカラーの補正を加えます。 せっかくの機会ですから、そこまでやりますよ!

私が このレイヤーに行った補正はこちら:

  • トーン: ハイライトと黒色を下げる
  • 画像ラジアンス: 少し上げる
  • カラー: 彩度を上げる、彩度と暖かさを少し上げる
  • トップ & ボトムライティング: 上部ライティングを少し下げ、下部ライティングを少し上げる
  • カラーフィルター: 青色の飽和を少し上げる

すべて終えてみると、この画像はなかなか良い終着地点にたどり着いたような気がします。 現在の画像はこんな感じです:

ステップ6: このステップは完全に任意となりますが、触れておきます。 前項のスクリーンショットに、細かいですが気になる点が3つあったのにお気づきでしょうか。 1つ目は大きな「何か」です。(実は私にも何なのか分からないのです… コンクリートかスチールのチューブでしょうか。)画像の右隅の木のラインのところです。 これが何であったとしても、なくしたいです。気づかなかったかたもいるかもしれませんが、私は気になって仕方がないのです。 :-)

2つ目に気になる要素は、写真の右下を横切っている有刺鉄線。3つ目はブルーボネットの真ん中にある小さな明るい点です。太陽の光によるものだと思われます。 どれもたいしたことではありませんが、私はどうしても気になるので、取り除きたいと思います。

さあ、ここで Skylum Creative Kit の素晴らしさが光ります。 Aurora での作業は終わりましたが、 Aurora で Snapheal を開けば、3つのアイテムを簡単に取り除くことができます。

それが私の最後に行うこととなります。消したいものをペイントして、「Erase」をクリックするだけです。とてもシンプルですぐに終わります。下部のスクリーンショットでは、消したい有刺鉄線の部分をペイントしたのが分かりますね。あとは消すだけです。木のラインのところにある大きな「何か」は既に取り除きました。あとは小さな光の部分をペイントして取り除きます。

それが終わったら、画像を保存して終了です!

このチュートリアルを全部読むのには少し時間がかかったかもしれませんが、実際にこのすべての加工にかかった時間は15分程度です。 Aurora HDR Pro を使えばすべてが素早く簡単になります。細部に至るまで調整された完成画像を作るための、数多くのレイヤーにまたがる様々なステップをシンプルに実行することができます。そして私のベーシックで退屈な写真が、素晴らしい作品に生まれ変わるのです!

ということで、これがファイナルイメージです:

ここまで読んでくださってありがとうございます。質問があったら教えてください!

ジム・ニックスはプロのフォトグラファー、ブロガーです。  ジムのウェブサイトまたは彼の Facebook ページ で彼の他の写真をご覧いただけます。

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