有名なフォトグラファーの黒田明臣が美しく女性を撮影する方法について、その秘訣とユニークな視点を教えてくれます。
ポートレート写真で魅力的なストーリーを独創性を大事にしながら紡ぎだす方法論について教えて下さい。
自分が独特であると自覚したことはないですが、マイノリティであるとは感じています(笑)。自分の作品は、一見オーソドックスなポートレートという形をとっていますが、写真ならではの表現である虚構性やフィクションを意識しています。カメラ目線ではない被写体とシチュエーションから、見ている人たちが想像力を働かせることができるような一枚を意識しています。カメラ目線がある場合にしても、何故彼・彼女がいまカメラまたは撮影者を見つめているのか、ということに想像を働かせられる一枚に魅力を感じるのです。
RAW現像やレタッチなどのポストプロダクションにおる個性やオリジナリティもありますが、根本にある自分のユニーク性というのは、こういう意識ではないかと考えています。
モデルはどうやって選んでいますか?
多くの場合、モデルにこだわってはいません。こう言うとモデルの方に少し失礼なようにも聞こえますが、相手が誰であってもその人と私の化学反応で起きるストーリーを描きたいと思っているため、すべての人を対象にしたいのです。ただ、もちろん自分がモデルの方に対して想像するストーリーをモデルの方が喜んで入ってきてくれるとは限りませんし、誰に対してもすぐにストーリーが思い浮かぶわけではありません。
私との撮影は、モデルとの化学反応であり、私が思い描くストーリーというエゴをモデルに押し付けることになるので、「彼、彼女なら私のエゴを受け入れてくれるだろう」と思わせてくれる人間性が一番のポイントではないかなと思っています。
つまり、一言でまとめれば信頼関係でしょうか(笑)
撮影で主に注意するポイントは何ですか?
化学反応ですね。モデルがいて、自分がいて、ヘアメイクがいたりスタイリストがいたり、服があったりロケーションがあったり、天候があったりライティングがあったり、さまざまな要素が一つになったときのユニークなポイントをいかに先鋭化できるかということです。
シャッターを押してみて、目の前の光景がただうつっているということよりも、いかに自分が想像できなかった瞬間がおさえられているかとういことに、わくわくします。
モデルの雰囲気を捉えてそれを最大限に撮影で引き出す方法論について教えて下さい。
答えになっているかわかりませんが、撮影時に気をつけることは、モデルがいつでも自分を文句を言ったり冗談を言ったり蹴り飛ばしたりできるような空気をつくるということです。お互いに緊張感があっては望ましい瞬間は撮れないと思っています。相手のすべてを肯定し、その瞬間の最大限を引き出せるような自分でいるという努力というのはしています。
多くの場合、私の撮影現場は写真とは大きく異なり、笑い声や叫び声が飛び交う遊園地のような空間です。
お勧めの機材。その他に使っている機材も教えて下さい。
愛用しているのは、Leica MシリーズやSonyのαシリーズなどのミラーレスカメラです。ライティング機材はProfoto社が多いですね。ただ、強いこだわりがあるわけではなく、レンズの階調性やレスポンスの良さ、解像感、プロユースを想定した設計になっているかなどがポイントです。
おすすめしたい機材は、その人の立場それぞれなので一概には言えませんが、もし人を撮るのであれば値段問わず愛着をもって扱えるカメラと50mm付近の単焦点が一つあればそれがよいと思います。私にとっては、それがLeica
MとSummilux 50mm F1.4 ASPHでした。
どういうスタイルの編集が好きですか?
撮影の99%はRAWでの撮影です。なので、RAW現像からのPhotoshopによるレタッチが基本的なワークフローになります。ただ、さいきんではカラーグレーディングを含むほとんどのプロセスをRAW現像時に行っています。Luminarはそのスタイルを後押しする機能性をもったソフトウェアで、その点が気に入りました。局所的な肌の修正など、Photoshopに頼る場面もありますが、トーンコントロールなどはほとんどRAW現像ソフトで出来るので、光の当たり方によってはPhotoshopを使うまでもないケースも多々ありますねバッチ処理で同じ効果を複数の写真に反映できる点も素晴らしい。
ポストプロダクションでは、自分の好きなトーンやカラーに落とし込みたいという欲望はありますが、そこまでこだわりや時間をかけて一枚を仕上げることよりも、できるだけ多くの撮影したシーンをモデルやチームに渡せるようなワークフローを好んでいます。
写真編集の方向性は何で決まると思いますか?
これは話しはじめると長くなりますが(笑)、まず最初に自分が意図していないカットを除外します。ピンボケやブレ、目つぶりや失敗など。これは最終的に物理的に削除してもよいというスタンスで選びます。さらに、自分が意図していたカットからレタッチしてもよいと思える理想的な写真を選びます。そこから各シチュエーションで一枚程度、レタッチすべき写真を選びます。
このワークフローを繰り返す中で、撮影時に自分のイメージしたカットが本当にパソコンでみてもほしかったカットかどうかを軌道修正する工程となっていて、少しずつ精度があがっていることを実感しています。
おすすめしますよ(笑)
独学でプログラミングを始めた黒田氏はフリーランスのソフトウェアエンジニア/webディレクターとして自身のキャリアをスタートさせました。
2017年からは活動の軸を広告写真の撮影へと完全に移行させ、主に雑誌広告用素材の撮影を行っています。また、黒田氏はWebマガジンXICOの創設時から写真家兼ビジュアルプロデューサーを担当しています。
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